涙~貴方を愛して~

ケンカ

ダイキに後ろめたさを感じ始めていた頃、私とコウちゃんは初めてケンカをした。


原因は私にある。


私は部活の時、無意識にダイキのことばかりを見ていたらしい。

私は本当に無意識で、コウちゃんに指摘されるまで全く気付かなかった。


しかも最悪なことに、部活が終わった後、部室に残っているといつの間にか眠ってしまっていた。

その時に言ってしまったんだ…。

寝言であの人の…

ダイキの名前を…。


『……ダイキ…』


勿論、それを聞いたコウちゃんは良い気がする筈もない。

きっと私を許せなかっただろう。



寝ていた私は、コウちゃんに起こされて帰ることになった。

だけど…

いつもと明らかに違う雰囲気に私は殺気を感じていた。

そんな中、みんなで帰っているとコウちゃんに呼び止められた。


『カナ…ちょっと。』


私は呼ばれるがままにコウちゃんの方へ行った。


みんなと少し離れて、ゆっくりと歩きながら話し出すコウちゃん…。


『さっき、アイツの方ばっかり見よったろ?それに寝言も言いよったし。』

『見てないよ!寝言…何て?』

『見よったし!寝言は、“ダイキ”って言いよった。』


明らかに怒っているコウちゃん…。
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