涙~貴方を愛して~
そして、そのまま私の降りるK駅に着いた。


扉が開き、降りようとした瞬間、信じられない出来事が起きた。


降りない筈のコウちゃんが、私と一緒に電車を降りたのだった。


えっ!?

…と私は疑問に思った。


コウちゃんはそんな私の肩を優しく抱き、電車のホームのベンチに私を座らせた。



コウちゃんはベンチに座ったまま、私を優しく抱きしめてくれた。

抱きしめられた瞬間、私の目からは涙が溢れた。


『ごめんね…。ごめんなさい……。』


私は泣きながらひたすら謝った。


『うん。もうわかったけん…泣かんで良い。』


コウちゃんはそう言って私を慰めてくれた。


“もう泣かんで良い”


何度もそう言って、ギュッと抱きしめてくれた。


しばらくすると、私は落ち着きを取り戻した。

それを見たコウちゃんは、ベンチを立ち私を立たせた。

駅から私の家が近いと言うことで、コウちゃんは泣き止んだ私を家まで連れて帰ってくれた。

家には親がいたので、私達は非常階段で話をしていた。


『…ごめんね。』

『もう良いよ。』


そんな会話を繰り返した。
< 60 / 69 >

この作品をシェア

pagetop