シークレット☆ガール
コンコン…


『ひとみさん、そろそろお願いします。今日もがんばりましょうっ!』



ボーイはごますり笑顔とワントーン高めのオカマ口調な声を響かせ呼びにきた。





私はコンコンと言ったら(はい)って言うまで開けないだろ!と言いたげな冷たい視線を向けながら




『あっ、はぃはぃすぐいくよ〜』




少し苛立ちを覚えながら更衣室を後にした。


更衣室からでるとまず目につくのがシャンデリア。





キラキラとその綺麗なシャンデリアを眺めながら何か物足りない現実にふっと帰るのだった。




『綺麗だなぁ。』






そう一言呟く瞬間ふっと寂しくなるのだ。






今考えると…そんな単純な事を考える時の自分だけが本当の自分に戻る時で、気づかぬうちに常日頃から人生の裏レールという道を歩いて行ってる事に気づいていなかったのかもしれない。





シャンデリアから目を離すとまたいつもの自分に戻る。寂しくなんかない。




綺麗なロングドレスに高すぎるヒールのサンダルをはいて沢山の人から浴びせられる視線とともにに自信満々な自分に戻るのだ。




お水という仕事をしたことある人なら皆、一度は経験したことのある感覚だと思う。



その感覚…





そう、狂った自身だと今は思う。
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