シークレット☆ガール
いつも指名をしてくれる兄さんの席の側まで近づくひとみ。





お客さんと言うとまだこっちに気づいていない。





そしてひとみはお客さんにつくまえには必ず大きく深呼吸をしてひとみという人格に魔法をかけるのだ。




言い遅れたのだけれど、私の本名はひろみ。



だけど、私はお水の世界では完全にひとみという人格になっていたのだ。




そしてひとみに魔法をかける。



ひろみからひとみへ…





(あのお客さんを好きになっるんだよっ心から好きになるんだ。)




深い深呼吸の間ひろみはキャバ嬢のひとみに甘い甘い魔法をかける。

今だから気づけた事がある。





もしかしたら、他のキャバクラの女の子達も

私みたいな魔法がかけられたのではないかと言うこと。



そしてその魔法は自分にではなくお客さんにかけるものだったのかもしれないと。




今さらながら思うのだ。




そうしていたらそんなに傷つく事はなかったのかもしれないと…





そのころのひとみは自分にかけるだけで精一杯だった。





指名してくれるお客さんを指名してくれる時間だけ





本気で好きになろうと。





夢中だったのかもしれない。



そして

そんな私はお客さんの事がいつも大好きだった。
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