シークレット☆ガール
『いらっしゃい。今日も来てくれたんだね、ありがとう。本当うれしいょ〜。』




私の特技は笑顔です。





と言わんばかりに大好きな彼氏に会うようなうれしそうな笑顔をお客さんにしてみせた。





『ひとみ〜。会いたかったよ。今日もかわいいなぁ。そんなに見つめられたら恥ずかしいよ』




遊び人に見えるそのお客さんはにやけながら照れるのだ。





勿論それは、私が特別可愛すぎるとかではなくまぎれもなく私がその瞬間そのお客さんの事を心から好きになっているからだったのだ。





誰だって本気で好きになられたら悪い気はしないだろう。



冷静な今、何故あんなに指名を貰えていたのかその理由がわかるのだ。
遅い時間になるにつれてお客の数は次第に増え指名の席が重なり初めあちらこちらに呼ばれ始める。




私はそのたびに頭にあるラブランドスイッチを切り替えて他のお客につくのだ。




『わぁ〜○○くんだぁ。ひさしぶりでうれしぃ!すっごい会いたかったんだからね。あははっ』




『今日はひさびさにひとみに会いに来たよ。他の子に会いに行くのに忙しくてさっ』




冗談ぽく笑われて、時間限定つきの大好きとはいえそういう言葉に小さく傷ついたりもした。



『そうなんだ。ひどいなぁ』




本気で少し傷ついてる潤んだ目の私を見るとお客さんは




『あっ、ちょっとお願いします。シャンパン持ってきて、ドンペリね!早く早く』




そういってご機嫌とりをしてきたりもしたのだ。




私はいつもなんとも言えない悲しうれしい笑顔をしてみせた。お客さんはそれがうれしいのかそうやっていつも私を傷つけてお金を落としていってくれるのだ。
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