ヴァンパイア



雪はニッコリと私に笑いかけた。

「ですが、お体に負担が掛かるのでお考えるのはやめてくださいね……?」
「あ、はい」


何か説教されてる……?


「でわ、御朝食です」

コーンスープの匂いが食欲をそそる。

「失礼しました――」
「雪!!」

私は雪を呼び止めてしまった。

「私が……私が記憶を取り戻したら……何がおきるの……?」

雪はまた、ニッコリと笑った。そして、―――今までにないくらい、怖い……顔をした。

「貴女はただ、思い出さなきゃいいのです。何がおきるではなく、思い出さない。です」


ガチャ――――



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