短編:誘い(いざない)【完結】
「瑠璃は気づいていないかもしれないけど、まだここに未練を持っているからね。それがない者は向こうの世界で暮らせるのさ。でも、瑠璃もそのうち向こうで暮らせるようになるよ。僕にはわかるんだ」
ルイスは未来の事でも予知できる能力でもあるのだろうか?
あまりにもルイスが自信たっぷりに言うので、私はそんな事を思ってしまった。
ルイスはウサギでしかも話す事が出来るのだから何でもありなような気がしているのかもしれない。
私は言葉も無く、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「わかったかい? じゃあ、そろそろ行こうか?」
ルイスはそう言うと、手を差し出した。
私は頷き、その手をとった。
「ちょっとの間、目を閉じててね」
「うん」
そして、私はルイスの手を強く握った。