宵の果てに‐妖恋物語‐



ぐしゃり、と心臓のような塊を抜き出し男の子は捨てる


『おまえ…姫巫女、だな?』


暗く、低い声で彼は呟いた


「…あなたはダレ?」


『なぜ僕が名のならければならない。
知るか。』


「十六夜…君?」


『…!!!??
おまえ…。』

彼は、十六夜は苦虫を噛みつぶしたかのような表情で私を見つめる


『なんで僕の名前が分かった…?』


「天網が…天網が教えてくれたの。」



私は姫巫女


天網を読み解ける三人の内の一人


空にかかった網目状の天網は人の生き死に全てが書かれている


もちろん、この人の名前も



『天網が読めるということはやっぱあんたが姫巫女か。
なんで、姫巫女のような御身分の奴が妖の領分にのこのこと入ってきた?』


十六夜は皮肉めいた口調で投げかける




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