宵の果てに‐妖恋物語‐
◆境
とてもとても平穏な日々
崩れる事なんて誰も予想していない
この世には妖と人間、二つの魂が夜と昼を分けて生きていて均衡が崩れることはなかった
ただ、天のほんの小さな気まぐれで
崩れてしまう小さな小さな均衡だったなんて
「姫様、姫様!?」
どたばたと、足音が近づいてくる
「姫様!!
また勝手に屋敷の外に出ようとしましたね!
出てはいけないとあれほどいいましたのに…!」
「ごめんなさい…。」
そしてくどくどと長時間のお説教
どうして私は屋敷の外に出てはいけないのかしら?
小さいながらに好奇心はあり、ただ疑問だけが頭を渦巻く
「みんなは外にでてるのに…。
どうして小望月だけでちゃいけないの!」
毎日、毎日
屋敷からはでられない
かといって、部屋にいても一人ぼっちなのだ