紫輝‐シキ‐
「愛南……泣きたいなら泣けばいい。我慢してるといつか壊れちまうだろ?」
惟―――
惟はこんなに暖かい人だったんだね。
あんまり話さなかったし、他の皆とも話してる感じじゃなかったからもっと人を寄せつけない人だと思ってたよ。
「愛南………何があったかは今は聞かないほうがいいだろう。でもな、出会ってからの時間なんて関係ねぇと思わねぇか?」
うん。時間なんて関係ないよ…。
あたしは何度も実感してきた。
良くも悪くも……
「俺達が暴走族だってことが怖くなったか?」
え………
なんで?
ふと顔を惟の方に向けると、凄く寂しそうな目をしていた。
「っ!!怖くなんてないっ!怖いはずない!」
あたしは惟にわかってほしくて、なんども怖くない…と呟いた。