紫輝‐シキ‐
それから、惟と二人で他愛もない話をした。
昨日みたテレビがどうだったとか
惟がバイクがどれだけ好きか、とか
紫輝の面子はどうだ、とか。
そのうちあたしの目の腫れも引いて、いつものように笑えるようになった。
「よし。愛南、もとに戻ったな。」
惟はふいにこう言った。
とても優しい目をして。
「戻ったよ。惟のおかげ。ありがとう。あたしに出来ることがあったらなんでも言ってね。力になるから!!」
惟はびっくりした顔をしたあと、ニッコリ笑って「頼むよ。」といった。
「じゃあ、部屋に戻るか。」
「うん。」
あたしたちは部屋に向かって歩き出した。