紫輝‐シキ‐
リムジンの中に乗り込むと、弘輔さん一家はもう乗っていた。
「やあ、愛南ちゃん。今日も可愛いね。」
弘輔さんに言われると、パパとは違って素直に嬉しい。
「ありがとう。弘輔さん。弘輔さんもスーツお似合いですよ。」
久しぶりにビシッとスーツを着ている弘輔さんは、大人の男って感じがした。
奈美さんはママと似たような格好をしていた。
仲良しな二人のことだから、合わせたんだろう。
そういえば悠希は…――――
そう思って車の中を見渡すと――――
ドックンッ
金色の髪を左に流して、濃いめのグレーのスーツを着た悠希は………
真っすぐにあたしを見ていた。
ドクン…ドクン…
いつもカッコイイのに、スーツなんか着てる悠希に見つめられて、あたしの心臓は飛び出そうなくらいにドキドキしている。