紫輝‐シキ‐
「愛南ちゃん。そんなに見てもなにもないよ。ほとんど俺しか入らないから。」
そう言った凌はクスクスと笑っていた。
ふと凌の手元をみると、なんとコーヒー豆があった!!!
「凌っ!!凌のコーヒーって豆から煎れてんの!?」
「え?そうだよ。でも愛南ちゃんに煎れるときだけだけどね。」
へ??
いつもじゃないの?
「あいつらに豆から煎れてもただ飲むだけだから。ていっても駿くらいなんたけどね。ブラック飲むのは。」
そうなの?でも……
「駿ならコーヒーが美味しいのとか分かりそう。わかんないのかな??」
「駿は分かってるよ。たまに気まぐれで豆から煎れると『旨い』って言うからね。」
「じゃあなんでいつも煎れないの?」
そう言うと凌は、ニヤッと笑って
「いいんだよ。たまにで。それに駿しかブラックで飲まないんだから一人分煎れるのに豆からっていうのも勿体ないじゃん?豆も安くないし。」
へぇ。
凌ていろいろ考えてるんだ。
豆が高いからいつもは煎れないのかな??
「凌っ!あたしが豆買ってくるよ!!あたしが好きなやつ!いい??」
凌は「え?」と、少しびっくりしたみたいだっけど、
「愛南ちゃんがすきなコーヒー豆は楽しみだね。」
と言って了承してくれた。