紫輝‐シキ‐
なんだかんだ言ってみんな決まったことに反対し続けたりはしないみたいだった。
だからその日、多樹が家へとあたしを送った。
「あ、多樹。ここでいいよ。」
「は?ここ高級住宅街だぞ?何言ってんだよ。」
「あたしの家ここだから。ここでいい。」
そう言ってあたしは家を指差した。
「……愛南って金持ちのお嬢だったのか?」
お嬢って…
でも家は金持ちだよね〜。
軽く頷いたあたしを見て多樹は驚いた顔をしたけど「そうか…。」と納得していた。
「じゃあね。またあした。」
「おう!明日の朝も迎えに来るからな!ちゃんとケータイを持っとけよ!」
あたしが頷いたのを見て。多樹は帰って行った。