紫輝‐シキ‐


ガツッ!

いつの間にか後ろにもいた敵に多樹は殴られた。



「多樹っ!!大丈夫っ!?」

「はっはっは。姫さんを守れなくなっちまったな。」

「てめぇ…。くそ。愛南…逃げろ。」

「多樹っ!しっかりして!!」

「逃げろ………愛南……。」



多樹はあたしにそう言って気を失ってしまった。

しかもかなり血が出てるみたい。

これはヤバいんじゃない…?

病院に連れて行かないと…!!



「さあ。紫輝の姫さん。俺達についてきて貰うぜ。」


倉敷とかいうやつはあたしの肩を掴んできた。


「触らないで。多樹を病院に連れて行くんだから。」

「そいつを?いや。お前は俺について来るんだ。」


こいつは馬鹿だ。

こんな馬鹿があたしを連れて行くなんて出来るはずない。




< 215 / 246 >

この作品をシェア

pagetop