Time。

長い長い先生の話が終わり、入学式に向かおうとした時、誰かが私の制服の袖を掴んだ。

私が掴んだ主を見ると、優だった。


少し俯いていて、今にも泣きそうだった。

「な、何?!ど、どした?!」

私は何が起こったかわからないから、動揺するしかなかった。自分はなんかしたか?とか、誰か優を悲しませるような事したか?とか・・・。

こんな事が頭の中を過ぎっていた。取りあえず理由を聞いてみる私。

「な、なした?」

すると、今にも泣き出しそうに優はこう言った。

「さ、里奈が・・・アイツと話してたからぁ・・・」

「ア、アイツ??」


私は何がなんだかチンプンカンプン。アイツって・・・誰??


その時、頭に浮かんだのは・・・・翔。

私はさっきから翔の事を気にする事はなかった。なんか・・・良い奴なのかな~って思ったから。

だけど、まだ優は苦手みたい。話したら結構良い奴なんだけどなぁ~。


私は心の中で優に言いつつも、ちゃんと言葉で発した声は「ごめん、ごめん!もう話さないから!」だった。



なんか・・・私・・・。優の泣き顔に弱いみたい。




さっきは優にああ言いつつも・・・やっぱり翔が気になっていた私だった。

8時03分。私の頭は【濱田翔】で埋まっていた。
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