いちごいちえ


ふいに背後から聞こえた声。



聞いたことのある関西弁の太い声だった。


まるで人が泣いているのを楽しむかのような声だった。
慌てて涙をふき、顔をあげる。



「泣いてませ……あぁ!!」



この人…
あの入学式の日に会った人…チョコレートの…!



「なんや君…どっかで見たことあるな…」


「あの……」



「あっ!思い出したわ!あの人のチョコレートを物欲しそうに見てたコやん!」
< 16 / 20 >

この作品をシェア

pagetop