− 夏色模様 −




ちょっと、やってみたかった。

いつも、いっくんのヒザの上でお昼寝させてもらうことはあったけど……。

あたしがいっくんにやってあげるのは初めて。


「ヒザ枕ー、やってあげる」


「お前、どうやって帰るの? 一人で帰らせねーからな」


一人でだって、大丈夫だって!

なんせ今は合宿中だし、消灯時間も過ぎている。


出歩く部員は居ない!


「まおは出歩いているだろ」


「あっ、そうか」


「バカか……」


バカは元から。 もう諦めだよ。


でも、疲れているいっくんに送ってもらうのも悪いからな……。


どうしよう。


いっくんには、早く休んで欲しい。

だから、今すぐにでも眠って欲しい……。


「やっぱ、ヒザ枕するー」


ポンポンッとヒザを叩く。


「5分だけ、休ませて。 そうしたら、送ってくから」




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