− 夏色模様 −
諦めたようなセリフを吐いたいっくんだけど……。 あたしが5分後にいっくんを起こすはずがないじゃん。
いっくんはあまりの眠さに、今は頭がしっかり働いていないみたいで……。
「いっくん?」
「……」
すぐに、夢の世界へ旅立った。
あたしのヒザに頭を乗せているいっくんは、ほんっとーに“赤ちゃん”みたい。
無邪気…… って、いえばいいのかな?
普段からは想像出来ない、顔して眠っている。
呼吸の度に、上下する胸。
無造作な腕……。
普段は全てを完璧にこなすいっくんだけど。
今だけは、別人。
「カーワイイッ」
子供みたい。
こんなこと、本人の目の前じゃ絶対に言えないから、今だけ 特別。