− 夏色模様 −
「えー、いいじゃないですか! だって、夜中……。
前田先輩と愛川先輩は、ロビーで二人でいたじゃないですか!
二人で仲良く座ったりして、話していたんだから俺らだってそれくらいしても良いんじゃないんですか?」
夜中にいっくんは“目を覚ました”って言っていたからね。 そのあとも眠れなかったんだ。
でも、安心しているのも束の間。
西村くんがバクダンを投下した。
「前田先輩と愛川先輩って、付き合っているんですよね?
昨日、二人で“――― 好き”って、言っていましたもんね」
「……」
えっ? 優ちゃんと…… いっくんが、付き合っている?
“好き”って…… なに?
なんの話し?
いっくんと西村くんが激しく睨み合っているが……。 今のあたしには、関係無くて。
ただ……。 いっくんが優ちゃんを、好き?
それだけが、頭を支配する。