− 夏色模様 −




背中が壁にくっついた。


「…… いっくん?」


いっくんの顔はあたしの正面に。 少しでも動いたら、唇が触れ合いそう。


「抵抗できるもんなら、やってみろよっ。 実地で…… 俺が教えてやる」


「ちょっ―――」


あたしの手首はいっくんに捕まれて、壁に押さえ付けられた。

足の間には、いっくんの足が挟まっている。


「抵抗、してみろよっ」


「―――」


いっくんが、コワイ。

いくら、腕を動かしてもあたしの手首は動くことは無く、いっくんに押さえ付けられている。


「――― ッッ」


突然、いっくんが動いた! そう思ったのに、あたしの首に柔らかい感触……。


やだやだやだっ。 いっくんがコワイ。

コワイ―――。


声が出せずに―――、あたしはただヤられるだけ。


ポロリ……。 瞳から、涙がこぼれ落ちた。




< 121 / 300 >

この作品をシェア

pagetop