− 夏色模様 −
いっくんの腕の中から離れた。
「――― っと」
あれ? 体に上手く力が入らない。
立ち上がろうとしても、立ち上がる事が出来ない。
「ほら、乗れよ。 連れていってやる」
あたしに背中を向けて、いっくんが座る。
もしかして……。 おんぶ、してくれるの?
力が入らない今。 いっくんに連れていってもらうしか手段は無いんだけど。
もっと“ダイエット”頑張っておくべきだった!
最近、油断していたから絶対、体重が増えているもん。
あーっ、最悪だよ。
「早くしろよっ。 練習サボるのがバレるぞ」
「えっ、あっ! …… うん」
下手に急かされて、いっくんの背中に飛び乗った。
いっくんにしっかり抱えてもらい、首に手を回した。
少しだけ感じる、懐かしさ……。
小さい頃。 転んで後、いつもいっくんにおんぶしてもらったな。