− 夏色模様 −
「いっくん」
「なんだ?」
時々、体勢を整えながらゆっくり旅館に向かう。
「あたし……。 重くない?」
「重いに決まってんだろーがっ」
あぁ、やっぱりダイエットを頑張っておくべきだった。
いくら相手が“いっくん”でも、あたしだって女の子。 体重とかは、気にする。
「頭は軽いのにな」
「ひっどーいっ! 頭だって詰まっているんだからっ!」
「はいはい」
もうっ、さっきまで泣いていたいっくんとは大違い。
これじゃあ、いつものいっくんと変わりない。
「いっくん」
「なんだ……?」
キュウっと、いっくんに抱き着く。
「ありがとう」
「わけわかんねーやつ」