− 夏色模様 −




やっぱり、そうだ。

いっくんには、いつもの力強さが全くない。


今にも崩れてしまいそうな感じがする。



「大丈夫?」


「…… なにが?」


「いっくん。 元気ない」


そっと、頬を指で撫でる。


「元気だって。 なにを急にいうのかと思ったら……」


「嘘。 いっくん…… 崩れちゃいそう」


そんな弱々しく笑わないで。

作ったような顔、しないで―――。


「今日も一緒に寝る」


「昼間、あんなことされたのにか?」


それは関係ない。 今はただ。


「いっくん。 泣きたかったら泣いてもいいんだよ?」


「だからー、泣かないっての」


小さな電気だけ点けて、二人でゆっくり寝よ?

いっくんだって、弱った姿を見せていいんだから……。




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