− 夏色模様 −
胸元を手で押さえた。
「つーか。 なんで“浴衣”なんて着ているんだ?」
あたしに背を向けているから、その間に浴衣を直した。
「昨日、優ちゃんと大浴場に行ったの。 行く途中に旅館の人会って、そうしたら“浴衣”を貸してくれたから」
「ふーん」
よしっ、浴衣も直し終わった。
「あっ、まお」
「なに?」
浴衣を整えて…… 立ち上がった。
「わりぃ、まお」
なんだろう? いっくんはあたしに謝るような事をやったの?
わけが分からず…… 首を傾げる。
「部屋に戻って、鏡を見てみ」
鏡? …… どうして。
なにかあるのかな?
「昨日、勢いで……。 まおのに“キスマーク”付けちまった」
「……」
「わりーな、まお」
ちょっ……。 “キスマーク”って、なに?