− 夏色模様 −




胸元を手で押さえた。


「つーか。 なんで“浴衣”なんて着ているんだ?」


あたしに背を向けているから、その間に浴衣を直した。


「昨日、優ちゃんと大浴場に行ったの。 行く途中に旅館の人会って、そうしたら“浴衣”を貸してくれたから」


「ふーん」


よしっ、浴衣も直し終わった。


「あっ、まお」


「なに?」


浴衣を整えて…… 立ち上がった。


「わりぃ、まお」


なんだろう? いっくんはあたしに謝るような事をやったの?


わけが分からず…… 首を傾げる。


「部屋に戻って、鏡を見てみ」


鏡? …… どうして。

なにかあるのかな?


「昨日、勢いで……。 まおのに“キスマーク”付けちまった」


「……」


「わりーな、まお」


ちょっ……。 “キスマーク”って、なに?




< 136 / 300 >

この作品をシェア

pagetop