− 夏色模様 −




一人で来るのがほとんどで……。

たまに、リカと来ていたくらい。



「よく西村が応援席を見上げていんだよな」


見上げるくらいなら、誰にだってある行為。


「でも、前ん時聞いちまったんだよな。 “――― 前田先輩と仲の良い女の人が気になる”ってな」


ちょっ、ちょ!

前田くんと“仲の良い女の人”っていったら、まおしかいない。


女子とあまり関わりを持たない前田くんだから、それはもう―――。 決定的だ。



「まさか、マジでまおちゃんを狙っているんかよっ」


「でもさー、まおには前田くんがいるじゃん」


でも……。 あの二人には、欠点がある。

それは―――。


「「恋人同士じゃない」」


桐谷と、声が揃った。


二人は今でも“幼なじみ”だから、誰と恋愛しようが勝手。

それに……。


「西村の方が、優しいからまおちゃんが心移りするかもな……」




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