− 夏色模様 −




優ちゃんにダマされたっ!


それよりも、よく考えたらわかることだ。

今まであたしが優ちゃんたちと花火をやったことが無いのは“ゼンソク”があったから。

だから元からあたしの分の花火なんて、用意されてないはずだ。


…… 気づくのが遅かった。



「まお、部屋入れて」


「やだっ、いっくんの変態」


「俺、足がいてーの」


「だったら外せばいい」


「――― チッ」


“――― チッ” 今、舌打ちしたよね?

舌打ち……。


「覚悟しとけよ」


「――― うわっ」


さすが男の子。 いっくんがドアを強く引いた。


あたしがいっくんの力に敵うはずがなく…… いっくんの胸に倒れた。


「さっさと開けないからこうなるんだよ」


「~~~ ッッ」


なぜか片腕があたしの腰に回っている。


「部屋に入るぞ」




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