− 夏色模様 −
結局…… いっくんがあたしの部屋に入り込んできた。
あたしはいっくんから一番離れた位置に腰を下ろす。
「…… つーか、離れすぎじゃね?」
「自分の胸に手を当ててよく聞けッッ」
自覚があるせいか、顔を歪めた。
「…… 悪かった」
「バカッ……」
膝を抱え込んで、顔を埋めた。
「もう何もしねーからこっちこいよ」
「やだよ」
“なにかされる”って思うわけじゃないけど。 恥ずかしくて、近寄りがたい。
「結構、傷つくんスけど? こうやって離れられると」
自分が悪いんじゃん。 あんなことするから。
でも、いっくんがちょっとかわいそうに思っちゃうあたしは、相当のバカだと思う。
ちょこちょこいっくんのそばに近付いて、腰を降ろす。