− 夏色模様 −
3日目⇒ 二人っきり。
――― コンッ コンッ。
部屋にノック音が響いた。 みんな、花火をやっているはずだから…… 誰だろう?
「ちょっと見てくる」
「あぁ、俺も行く」
二人して立ち上がり、入り口に向かった。
いっくんがドアノブに手を掛け、開けた。
「あっ、こっちにいたんですね」
「…… 平本先生」
副顧問の平本先生が立っていた。
「まおに用事ですか?」
「いやっ、前田くんに…… だったんです。
最初、前田くんの部屋に行ったけどいなかったみたいだったので、こちらに来たんです」
そっか、いっくんはずっとあたしの部屋にいたからね。 居ないのは当然。
「はい、これ。 “約束”のモノです」
茶色い封筒がいっくんの手に渡った。
何が入っているんだろう……。