− 夏色模様 −




「なに、それ?」


「まおには内緒」


ムッ…… 気になるじゃん、あたしの目の前で渡されたら。

平本先生は平本先生で、ニコニコ笑ったりなんかしてっ!

あたしだけ知らないなんて、ズルイッッ。



「木下さん」


「はい?」


「花火、木下さんだけスイマセンでした」


みんな気にしすぎだよ。 別に出来ないからって寂しい思いをしているわけじゃない。

今日が出来ないだけであって、いつか…… いつか出来るかもしれないからね。


「説明不足で、本当にスイマセン」


「えっ、そんな謝らないでくださいよっっ」


先生が悪いわけじゃない。


だから、気にしないで―――。


「あっ、前田くんと木下さんはこのあと用事ありますか?」


「――― ?」


「しばらくはまおの部屋いますけど……」




< 148 / 300 >

この作品をシェア

pagetop