− 夏色模様 −
「なに、それ?」
「まおには内緒」
ムッ…… 気になるじゃん、あたしの目の前で渡されたら。
平本先生は平本先生で、ニコニコ笑ったりなんかしてっ!
あたしだけ知らないなんて、ズルイッッ。
「木下さん」
「はい?」
「花火、木下さんだけスイマセンでした」
みんな気にしすぎだよ。 別に出来ないからって寂しい思いをしているわけじゃない。
今日が出来ないだけであって、いつか…… いつか出来るかもしれないからね。
「説明不足で、本当にスイマセン」
「えっ、そんな謝らないでくださいよっっ」
先生が悪いわけじゃない。
だから、気にしないで―――。
「あっ、前田くんと木下さんはこのあと用事ありますか?」
「――― ?」
「しばらくはまおの部屋いますけど……」