− 夏色模様 −
そこは断らなきゃっ!
お茶と水は買ってくるけど、あたしたちの好きなモノは買ってはダメだよ。
「じゃ、二人とも よろしくお願いします」
平本先生は顔の筋肉を緩めて、部屋から出て行った。
残ったのは、もちろんあたしといっくんだけ。
「まお、10分後にロビーに着替えて集合な」
えーっ、10分しか無いの?
着替えたりしたら、間に合わないよ。
「待っていてやるから、ゆっくり着替えて来な」
「うん」
頭に手を置き、あたしを見下ろす。
身長差があるのはしょうがないけど、やっぱり見下ろされるのはいや。
“それじゃっ、ロビーで……” と、言い残していっくんは部屋から出て行った。
パジャマだから、急いで着替えなきゃッッ!
スーツケースから服を取り出した。