− 夏色模様 −
3日目⇒ 散歩。
部屋に鍵を掛けて…… タタタッと、駆け出した。
10分なんて、あっというまに過ぎてしまい、15分くらい掛かってしまった。
階段を勢いよく駆け降りる。
――― あっ! やっぱり向こうの方が早かったか。
「いっくん――― !」
あたしが呼び掛けると、顔を上げた。
階下には、いっくんが腕を組んで立っていた。
「躓(ツマヅ)くんだから、ゆっくり下りて来いよ」
なっ――― ! そんなおっちょこちょいじゃないから。
見てなさいよっ!
ストンッ――― 左足を床に付けた。
勝ち誇ったように、いっくんを見上げる。
「躓かねーのが“普通”なんだよ」
「悪かったわね、普通じゃなくてッッ!」