− 夏色模様 −




軽快な音を立てながら、コンビニのドアを押す。


「俺は平本先生に頼まれたの買ってくるから、まおは先に好きなもん選んでな。 どーせ、時間が掛かるんだし」


オレンジ色のカゴを持つ、いっくんに言われた。


「本当に買っていいの?」


「いいんだよっ。 花火はどうやら部費とかから買ったやつで、まおは花火出来ないだろ? だから、いいんだよっ」


…… えっ。 あたしが花火出来ないからって、わざわざあたしをコンビニに連れていったの?


そんなに気にされるような程でもないんだけど…… 本当に。


みんなと同じことが出来ないのは慣れっこなのに。



「まおが選ばないなら、俺が選ぶぞ?」


「えっ! いやっ、それだけは絶対にいやっ」


いっくんに選ばれたらたまったもんじゃない。




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