− 夏色模様 −
だったら自分の好きなモノを選ぶ!
「じゃっ、先によろしくね」
あたしは迷い無く、デサート売り場に足を進めた。
……。 さて、迷うぞ。
夏限定 オレンジゼリー。
しっとり溶ける クリームプリン。
どちらも食べたい!
普段なら、迷い無く両方買うけど…… 今回は平本先生のお金である。
安易(アンイ)に、両方買うわけにはいかない。
うーん、困った……。
「やっぱり迷ってるし」
隣でクスクスと笑う声が聞こえるが、シカト。
「いつもみたいに“両方”買えばいいのに」
「平本先生のお金じゃん。 なんか悪いよ……」
あたしにだって、そこら辺の常識はある。
だから、迷うのだ。