− 夏色模様 −




そういうことか。 優しいやつ。 あたしは気にしないけど……、いっくんはやっぱり気にするんだ。


「じゃあ、あたしの部屋にしようかっ」


「悪かったな、まお……」


まだ、気にしている。 あたしが花火を出来なかったのはいっくんのせいではない。

もちろん、平本先生が悪い訳ではない。

あたしの体が弱かったのがイケなかったの。


誰も責任を感じる必要なんて、無いのに……。


いっくんが本当に申し訳なさそうな顔をしていて、見ているのが辛くなってくるから、場を明るくする。


「いっくんには、お菓子あげるね。 まだ、結構残っているんだー」


「また、菓子なんて持ってきたのかよ。 だから、まおのカバンは毎回毎回でかいんだな。 少し食ってやるから、帰りは荷物減らせよ」


よしっ、いっくんの表情が戻ったら良しとしよう。


ゆっくり旅館を目指す。




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