− 夏色模様 −
「じゃあ、明日は朝飯食ってから出発な」
「はーいっ」
「じゃあ、俺は部屋に戻るわ」
えっ…… もう、帰るの?
優ちゃんたちは、まだ花火をやっているみたいだから帰ってきていない。
一人ぼっちだ……。
「もう一回、風呂にでも入れば?」
「お風呂?」
「海風に当たっから、少しべたつかないか? 今なら大浴場に行ったら貸し切りだぞ?」
少しだけ、体がべたつく。 せっかくだから…… 入ってこようかな?
お風呂は基本、24時間入ることができる。
「もし、眠れないようなら俺の部屋においで……」
「うん、ありがとう」
たぶん、今夜は行かない。 いっくんだって連日の練習で疲れている。
今夜はゆっくり休んで欲しい―――。
「じゃあ、おやすみ」
「うん…… おやすみ」
あたしは、いっくんの背中を見送った。