− 夏色模様 −
疑問を抱きつつも…… チョコチョコいっくんに手を引かれて着いていく。
今は、夏休みってこともあって開館が1時間早いからスムーズに入ることは出来た。
「人、多いなー」
「しょーがねーな、夏休みだし」
薄暗い館内は、人がたくさんいる。
でも、魚たちが見えないわけじゃないから……。
「いっくん、いこっ」
「あぁ」
いっくんの手を引っ張って進む。
優しい音楽に包まれながら、先を進む。 そして、時々立ち止まって、写真を撮る。
「これ黄緑色してるー」
「まお、こっちは黒っぽいぞ」
「なんか、いっくんに似てるー」
はぐれないように、もちろんあたしの右手はいっくんの左手と重なっている。
「まお、サメいるぞ」
「…… なんか、小さくない?」
サメといったら大きなイメージがあった。
でも、水槽で泳いでいるのはやけに小さい。