− 夏色模様 −




「テレビで見るのとは違うからな」


「そうだよね」


優雅に泳ぐ、その姿。 二人して立ち止まって水槽を見上げる。


「気持ちいいかな?」


「なにが?」


「ん…… なんかさっ、自由に泳いでいるみたいで気持ちいいかなーって思ったの」


「どうだろうな……。 スペースがこれだけしか無いから、逆にストレスになりそうだ。 それに、一人でいるわけじゃないし……」


やっぱりいっくんは意地悪。 夢もへったくれも無い。

“水槽”って、決められた中でしか泳げないけど、自由に動き回れるから、気持ちいいって思ったんだけどな……。



「次、行くか?」


「うんっ」


次にやって来たのは、熱帯魚のスペース。

小さくて、かわいい。


――― パシャッ!


えっ、今の音って。




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