− 夏色模様 −
ゆっくり、隣に立ついっくんを見上げた。
その表情は、薄暗くてもよくわかる。
「ちょっとー! なにするのよっっ」
「いやっ、なんか“楽しそう”だなーって思ったから記念に、な……」
なにが“記念に、な”だよっ。 意地悪顔して、最悪。 あとで、削除しておかなきゃ。
「ばかっ」
「なんとでもどーぞっ」
満足そうな顔して、写真を保存している。
あたしの横顔なんて撮って、なにがそんな嬉しいかわからない。
いっくんから視線を外し、あたしは再び熱帯魚を見つめる。
うんっ、やっぱり小さくてかわいい。
水槽を指で突いていると、自然と口角が吊り上がるのを感じる。
「かわいいっ」
「よかった、よかった」