− 夏色模様 −
…… あぁ、あれか。
すっかり忘れていた。
まさかあれが、今でも“有効”だったとは……。
「だから、な」
「もっと別な事がよかった」
つい、本音がポロリ。
「バーカッ。簡単なことだとつまんねーだろ?」
絶対、性格がねじ曲がっているように思うのは…… あたしだけなんだろうか?
いっくんのこの性格。 どうにかした方がいい。
「それに……」
いっくんが言葉を続けた。
「去年みたいに、まおを“花火大会”に連れていってやれないし……。 まおとの時間が少なるなるだろ?」
「……」
去年だって“たくさん”と言えるほど、一緒に過ごしたわけではない。
ただ、花火大会に行ったり…… いっくんの家にお泊りした程度。
「まおは俺に気を使って来ると思ったから」
どうやら“毎日メール”の主旨は、あたしへの配慮みたい……。