− 夏色模様 −
あたしのペースに合わしているのか…… それとも、店内が混んでいるせいか。 歩くペースはゆっくりである。
「あっ、このイルカのストラップ。 かわいい」
ピンク、青、黄色。 3種類のイルカがある。
「ねえ、ねえ! これなんて、どう?」
「あー、いいんじゃねーの?」
もうっ! いつもお土産を選ぶときは、協力的じゃないんだからっ!
もっと、真剣に考えてよっ!
「まおが選んだやつなら、理央ちゃんはなんでも喜ぶんじゃないか?」
「そうかなー?」
「理央ちゃん。 結構、シスコンだから」
「――― へっ!?」
いっくんの言っている意味が分からず、聞き返した。
理央ちゃんが“シスコン”って……。
そんなことあるわけが無い。
なんせ、あの理央ちゃんだ。