− 夏色模様 −
1日目⇒ コワイヒト。
ボールの音が体育館に響く。
副顧問の平本先生は桐谷と……。 1年生の指導をやっている。
結局、前田くんは2年生の指導に回っている。
「優ちゃんって、バスケ出来る?」
隣に立つまおがあたしに尋ねてきた。
バスケ?
まあ、去年……。 桐谷に少し教えてもらった程度で、そんな“出来るっ!”って言うほどは、出来ない。
「でも、ルールとかはわかるんでしょ?」
「まぁ、ね」
少しだけど……。
バスケのルールは本当に難しい。
結局、細かいとこまで覚えられずに……。
スコアを付けるのはいつも部員たちだったもんな。
「さっきね……」
まおがさっき、前田くんに少しだけバスケのルールを教えてもらったことを話してくれた。
でも、わからなかったみたい。
「大丈夫だよ、わからなくたって。 あたしもわからないから」
「そっか」