− 夏色模様 −
4日目⇒ ちゅっ。
バスが来て、二人で乗り込む。
“無料”ってこともあり、車内は混んでいて…… 帰りも立ったまま帰る。
慣れないバスに乗っているせいか……。
「具合、大丈夫か?」
「うん、なんとか」
「体、こっちに預けていいから」
人に酔ったみたい。
腰を引き寄せられて、いっくんの胸に顔を埋める。
「あと10分くらいだから、我慢しろな?」
「うん……」
周囲からしたら、変な光景だと思う。
でも、今は満員の車内。 うまくあたしたちを隠してくれる。
腰に回っている腕が時折強くなる。
手すりに掴まっていないあたしは、いっくんのこの腕だけが頼りだ。
「いっくん……」
いっくんの胸から顔を上げた。
「ん、どうした? まだ、着かねーけど」