− 夏色模様 −
第3話:片想い部員の、ムネのウチ。
恋した瞬間。
「――― ッッ」
体育館では、練習試合が行われている。
ダダダッと大勢の足音に混ざり、ダンダンッとボールの弾ける音がする。
せっかく貰えた、レギュラー。
今日の練習試合が俺の初めての試合だったのに……。
ゆっくり、視線を足元に移す。
包帯が巻かれた足が、俺の全てを物語っている。
初めての試合。 初めてのレギュラー。
誰だって、嬉しいに決まっている。
顧問に呼ばれた時は、マジで嬉しかった。
“先輩と同じコートでプレー出来る―――”
俺の胸は、大きく高鳴った。 …… 高鳴ったのに、それは、長くは続かなかった。
練習試合の数日前。 俺の不注意…… 不注意と言えばそうなんだが、練習に熱が入りすぎて、練習中に転んだ。
転び方は、そんなには悪くは無かったから“骨折”はしていない。 ただ“1ヶ月、絶対安静”を医者から言い渡された。