− 夏色模様 −
断ったんだけど……。
「階段、気をつけてくださいね」
「なんか、スイマセン……」
先輩は、俺の横に着いて一緒に階段を下りてくれる。
包帯が巻かれた足では歩きづらく、ペースが遅いにも関わらず、文句一つ言わずについて来てくれる。
「まおっ」
「…… いっくん!」
階段下。 前田先輩が立っていた。
そんな、前田先輩が“まおっ”と呼んだ相手は、俺の隣にいる先輩。
まお先輩が、タタタッと階段を駆け降りていった。
おいおい。 ここまで来て、俺を置いていくんかよ。 だったら最初から着いて来なくたっていいのにっ。
俺より先に下りた、まお先輩に呆れながらも俺はゆっくり階段を下りる。
「…… 大丈夫か?」