− 夏色模様 −




「木下 まお(キノシタ・マオ)先輩。 前田先輩と同じクラスで、あの二人…… 結構仲がいいみたいだぞ」


「ふーん……」


“仲がいい”

そんな簡単な言葉では済まされないような気がする。

あの二人の醸(カモ)し出す空気は、まるで――― 恋人。



「前田先輩って、彼女…… いたっけ?」


「いや、前田先輩には彼女はいない」


だよな。 俺だって、前田先輩に彼女がいるなんてこと、聞いたことがない。

俺のクラスの女子が前田先輩に好意を持って人たちだって“彼女候補”とか、言って騒いでいる位だ。



「木下先輩って、前田先輩の何だと思う?」


「知らね。 そういうのは、桐谷先輩とか愛川先輩に聞くべきだろ」


だよな……。

ふーん、木下 まお先輩か。



1年生 秋。

葉っぱが色付き始めたこの頃……。


西村 雄飛(ニシムラ・ユウヒ)
小さな恋が、始まった。




< 192 / 300 >

この作品をシェア

pagetop