− 夏色模様 −
“運命”なんだろうか。
それからは…… 学校で木下先輩をみつけると、目で追う日々が始まった。
移動教室、集会。
知らず知らずに木下先輩ばかり、目がいく。
「雄飛ー、いつまで木下先輩見ているんだ? そんな気になるなら、話しかけてくりゃーいいじゃーん」
「そんな簡単じゃねーよ」
“俺、この間の練習試合で助けて貰ったヤツです!”
簡単なようで、難しいコトバ。
「なんか今は、木下先輩を遠くから見ているだけでいいや」
「うっわー、その完璧“片想い”発言。 好きならガンガン攻めなきゃー」
「そうかなー?」
窓から空を見上げた。
木下先輩の、あのソプラノ声。
俺に触れた、小さな白い柔らかい手。
最強なのは、木下先輩の天使のような“スマイル”
「あぁ、思い出すだけでドキドキする」
胸に手を置き、木下先輩を思い浮かべる。
「雄飛、お前って結構寂しい奴だな……」
捺稀の言葉なんて、気にならない。