− 夏色模様 −
恋のイタズラ。
簡単に挨拶を済ませ、先輩たちは帰っていく。
ここは“キャプテン”として、先輩たちに挨拶をしておこうと思い、二人の後を追った。
「これで、よかったんだろ。 樹」
「あぁ、サンキューな。 陽太」
桐谷先輩と前田先輩の声が聞こえた。
二人はまだ、体育館から抜けておらず、ゆっくり話しながら歩いているみたいで追いつきそうな距離。
「つーか、まおちゃんが心配なら連れてかなきゃいーじゃねーか」
「??」
二人はいったい何を話しているんだ?
つい、木下先輩のことだと聞き耳を立ててしまう。
「まおの去年の様子を見たら、陽太だってまおを連れていきたくなるって」
「だけどなー、まおちゃん……」
桐谷先輩が、衝撃的な言葉を発した。
「耳、ちゃんと聞こえてねーだろ?」
「――― ッッ!」