− 夏色模様 −
耳が聞こえないなら、どうしてこんな“普通高校”にいるんだ?
障害者なら、普通高校ではなく“養護学校”に行くんじゃねーの?
「雄飛っ、おせーよっ。 練習、始まってんぞ?」
いつまでも戻って来ない俺を心配して捺稀が呼びに来た。
「雄飛?」
「―――」
「なにか、あったか?」
まだ、本当にすべてを解っている段階ではない。
だから、木下先輩のことを色々言うのは悪い気がする。
「なんにもねーよ、悪かったな…… 遅くなって」
俺の何か、聞き間違いかもしれない。
だから、さっきの会話を聞かなかったようにしたいが……。
遠くから見ていた、木下先輩は…… 障害者。
そのことが頭を離れずにいる……。