− 夏色模様 −
最初は部員たちがバスに乗り込み、先輩たちは最後に乗ってきた。
俺は後ろの方に乗っていて、木下先輩は一番前。
だから、木下先輩の姿が全く確認出来ない。
「つまんねーの」
「…… まぁまぁ、まだ始まったばかりだし、これから話せる機会はあるって」
俺の気持ちを知っている捺稀に宥められた。
バスはゆっくり動き初めて、高速に乗る。
はしゃいで騒いでいた奴らも次第に大人しくなり、車内は音を無くした。
俺の隣に座るヤツ…… 捺稀も気が付いたら目を閉じていた。
俺は、この間の先輩たちの話しが頭に残り、そのことばかり考えてしまう。
今日の木下先輩を見ていたら、全然“障害者”っぽくなかった。
むしろ、どこが悪いのか聞きたい位だ。
やっぱり、間違い…… だったんだよな?